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ホームヘルパーは、現場では基本的に1人で業務にあたるため、チームで働くことが多い施設の介護職以上に責任感と的確な判断力が求められます。また、ホームヘルパーになるには介護職員初任者研修(以下、初任者研修)以上の資格が必要です。一方で、自分のライフスタイルなどに合わせて働き方を柔軟に選びやすい、少数で利用者さんのご自宅に訪問するため、施設で働くよりも関わる人が少なく人間関係のトラブルが少ないと言われることもあり、働くうえでのメリットもさまざまあるのがホームヘルパーの仕事です。
訪問介護事業所への転職を検討する際、気になることも複数あると思いますが、働いた対価としてもらう給与の額は、特に多くの方が気になるポイントではないでしょうか。今回は、訪問介護の給与や年収、賞与、ほかのサービス形態との給与額の違いといった給料事情に加え、収入アップの方法についても解説します。
訪問介護員(ホームヘルパー)の平均給与
■訪問介護員(ホームヘルパー)の平均給与・年収額
ここでの給与額とは、基本給に手当や賞与(年間で支給されたもの÷12)などを加えた金額です。※
また、平均給与額に12をかけて算出した平均年収額は、常勤の場合で378万2,040円、非常勤の場合で263万2,680円です。
※出典:厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
ー全産業平均と比較すると訪問介護の給与はまだ低い
国税庁の調査では、全産業の平均年収額は正社員のみで523万3,000円で、正社員以外の平均年収額は、200万5,000円です。
これらと、訪問介護員(ホームヘルパー)の給与差額を比較すると、常勤は全産業の正社員と比較して約145万円給与が低いことが、一方で非常勤の場合は、全産業の正社員以外の平均年収と比較し、約60万円高いことがわかります。
ー介護職の年収は毎年上昇傾向にある
参考:厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果
参考:厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果
参考:厚生労働省 平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果 をもとに作成
ただ、近年は介護人材の不足を解消するため、国をあげて介護職の待遇改善に取り組んでおり、介護職の平均給与額はホームヘルパーも含めて上昇傾向にあります。
■ほかのサービス形態の施設・事業所との給与額の違い
この理由としては、訪問介護事業所には夜勤や早朝勤務がないところが多く、その分の手当がつかないことが挙げられます。したがって、働き方の違いによるものであり、特養や老健といった入居型施設に比べて、訪問介護員(ホームヘルパー)の待遇が悪いというわけではないでしょう。
■訪問介護員(ホームヘルパー)の平均賞与(ボーナス)額
しかし、この背景には、ホームヘルパーは夜勤がないことや労働時間も比較的融通がきくことなど様々な要因があるため、自身のライフスタイルと勤務形態などがあっているかどうかで、入職を検討するとよいでしょう。
■訪問介護員(ホームヘルパー)年齢別の平均給与額
この表から、ホームヘルパーの平均給与額は年齢とともに上昇していき、男性で40代、女性で50代でピークを迎えていることがわかります。そして、その後は年々下がっていますが、これは勤務時間の短縮や、業務の幅の縮小などを体力の低下とともに行っているからと予測できます。
■訪問介護員(ホームヘルパー)勤続年数別の平均給与額
勤続年数別に見ると平均給与額は、勤続年数が長くなるとともに、少しずつアップしていく傾向があることがわかります。
訪問介護のパート・登録ヘルパーの平均給与
パートや登録ヘルパーは、主に時給制で働くことがほとんどであるため、厚労省のデータにおいては、時給で働くホームヘルパー(非常勤)の平均給与額が参考になります。厚生労働省の調査結果によると、時給制(非常勤)で働くホームヘルパーの平均給与は10万7,310円です。
■ホームヘルパーの時給は高い?
実際に、時給制(非常勤)の平均基本給をサービス種類別に確認してみると、以下のような結果になりました。
訪問介護の管理職(サービス提供責任者)の平均給与
厚生労働省の調査によると、月給制で常勤のサービス提供責任者の平均給与額は33万9,290円です。一方、サービス提供責任者ではないホームヘルパーの平均給与額は、28万2,130円です。このことから、ホームヘルパーからサービス提供責任者になると5万円以上給与額がアップする可能性があると考えることができます。
訪問介護員(ホームヘルパー)が給与額をアップする方法
2.身体介護を担当する
3.(非正規雇用の場合)正規雇用を目指す
4.(登録ヘルパーの場合)複数の事業所に登録する
5.サービス提供責任者になる
6.夜勤、早朝の勤務を希望する
7.より良い条件の事業所に転職する
■1.資格を取得する
上位の資格を取得するほど、支給される手当の額が高くなるのが一般的です。事業所によっては、パートの職員や登録ヘルパーにも資格手当が支給される場合があります。
■2.身体介護を担当する
生活援助を中心に担当している場合は、身体介護中心の働き方に変えると、時給額が高くなるため、給与アップにつながります。ただし、介護職が1人で利用者の身体介護を行う場合、初任者研修以上の資格が必要です
■3.(非正規雇用の場合)正規雇用を目指す
ただし、パートや派遣ヘルパーから正規職員になると、フルタイム勤務になり、労働時間が増えるので、自分のライフスタイルに合った働き方かどうかを慎重に検討する必要があります。
■4.(登録ヘルパーの場合)複数の事業所に登録する
2つ以上の事業所に登録しておけば、より多くの仕事を受けられるうえ、キャンセルが発生した際にも、空いた予定を埋めやすくなります。
■5.サービス提供責任者になる
ホームヘルパーからサービス提供責任者になると、職務手当などが加算されて給与額が高くなるのが一般的です。ただし、サービス提供責任者になるには、実務者研修を修了するか、介護福祉士の資格を取得する必要があります。
■6.夜勤、早朝の勤務を希望する
■7.より良い条件の事業所に転職する
ただし、必ずしも給与額の高い事業所が自分に合うとは限りません。転職する際には、給与額だけではなく、労働環境や職場の雰囲気、休日の日数、研修制度や各種手当の有無など、さまざまなポイントに目を向けて総合的に判断することが大切です。
条件の良い訪問介護事業所を見分けるポイント
2.キャリアアップ制度の有無
3.保険外サービスを提供しているか
■1.法人の規模
ただし、全国各地に施設・事業所を展開している大手の法人に転職すると、希望していないエリアにある事業所や訪問介護以外のサービス形態の施設・事業所に配属される場合もあります。大規模な法人には、条件が良い分、そうしたデメリットもあることを理解しておく必要があります。
■2.キャリアアップ制度の有無
また、キャリアアップの仕組みが整備されている事業所では昇給しやすいため、入職時は給与額が低めでも、順調にキャリアを重ねていけば給与額が高くなる可能性があります。見学会や面接の際に、その事業所にどんなキャリアアップ制度があって、どれくらい勤続すれば次のステップに上がれるのかを確認しておくとよいでしょう。
■3.保険外サービスを提供しているか
介護報酬の額は介護保険制度によって定められていて、事業者が自由に額を決めることはできません。そのため、介護保険サービスをメインに提供している事業所は利益を出しにくく、職員に高い給与を払うことができません。
ただ、なかには介護保険サービスだけでなく、配食サービス、介護タクシーといった介護保険の対象外となるサービスにも対応している訪問介護事業所もあります。そうした事業所では、保険外サービスで利益が生じた分を職員に還元できるため、給与が高くなる傾向があります。
登録ヘルパーは正規職員より高収入?
一方、前出のデータによると、正規職員が大半を占める月給制・常勤のホームヘルパーの平均給与額は31万5,170円です。単純に比較はできませんが、これらの数字を見る限り、登録ヘルパーよりも正規職員のホームヘルパーのほうが月あたりの収入が高くなる傾向があるようです。
■登録ヘルパーでも給与を上げる方法はある!
具体的には以下の通りです。
・複数の事業所に登録をして掛け持ちをする
上記のような工夫をすれば、平均的な給与額の正規職員よりも高収入になる可能性があるでしょう。
■正規職員と登録ヘルパーには異なるメリットやデメリットがある!
一方で、登録ヘルパーは、正規職員のように常に仕事があるとは限らず、収入面でも不安定ですが、自分の都合に合わせて柔軟に働けるというメリットがあります。双方のメリット・デメリットを把握して、自分のライフスタイルによりマッチした働き方を選ぶとよいでしょう。
まとめ:訪問介護には給与アップの手段が多く、今後待遇が改善される見込みも
また、事業所によっては、最初は給与が低めでも、入職後の努力次第で給与が上がる場合もあります。転職活動の際には、気になる事業所に資格支援制度があるのか、パートから正規職員になれる道はあるのかなど、給与アップの可能性についてもチェックしておく必要があります。
現在、国は、少子高齢化による介護人材の不足を解消すべく、介護職員処遇改善加算をはじめとする介護職の待遇改善に向けた取り組みを推進しています。こうした国をあげての取り組みは今後も続くと考えられており、ホームヘルパーの給与額も上がっていく見込みです。訪問介護事業所への転職を考えている人は、この記事の内容も参考に、希望条件に合う職場を探してみましょう。
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