ジャズの本質は創造的な自由と即興によって定義される。

しかし、私たちがこのジャンルの「基幹」と考えている楽器はどれで、どこでそれぞれの最高の音を聴くことができるのだろうか？

リズム・セクションからリード、そして意外な楽器まで、それぞれの楽器について説明し、常に変化し続けるジャズのエコシステムにおけるその位置づけを解説します。

リズム・セクション

リズム・セクションはジャズ・アンサンブルの基礎である。主な仕事はリード楽器をサポートすることだが、彼ら自身のソロを持つこともある。このカテゴリーに入る楽器は、ピアノ、ベース、ドラムだ。

ドラム

ジャズにおけるドラムの重要性は控えめな表現だろう！さらに、ジャズのドラマーは通常、テンポをキープするだけでなく、シンコペーションを加えたり、ダイナミクスを進化させたりして、曲の激しさを後押しする力を持っている。

ジャズドラマーは、ほとんどのジャズ曲で見られる「スウィング」フィーリングを担当する。ライドシンバルやハイハットのパターンに注目したり、スネアやバスドラムに微妙な変化を加えたりしながら、踊れるリズムを作るために音符のニュアンスに変化をつけるのだ。

ジャズ・ドラム・セットは通常かなりミニマルだが、バスドラム、スネアドラム、タムタム、ハイハット、シンバルが含まれることがほとんどだ。

ベストプレーヤー: マックス・ローチ、バディ・リッチ、アート・ブレイキー

おすすめ曲: アート・ブレイキー＆ザ・ジャズ・メッセンジャーズ - Moanin' (1958)

コントラバス

コントラバスは、リズム・セクションとリード楽器の橋渡しをする。一般的に、ベーシストはコードのルーツを弾き、ビートを強調すると同時に、ソロ楽器のための強固な土台を提供する。

ベーシストはドラマーとロック・インし、しばしばウォーキング・ベース・ラインを使って曲に明確な方向性を与えたり、複雑なパターンやメロディックなソロでメロディをコントロールしたりする。あまりポピュラーではないが、ステージ上でエレキ・ベースを見かけることもある（ジャコ・パストリアス）。

ベストプレーヤー：チャールズ・ミンガス、ポール・チェンバース

おすすめ曲: Charles Mingus - Mingus Ah Um (1959)

ピアノ

リズムを刻むコードでビートを刻み、リード楽器が即興で演奏するためのハーモニーの土台を提供する。

ドラマーが "スウィング "を担当するように、ジャズのピアニストはいわゆる "コンピング "を担当する。

リズム楽器と考えられているが、ピアノ奏者はソロを弾いたり、即興で音楽を作ることもできる。

ベストプレーヤー：セロニアス・モンク、ビル・エヴァンス

おすすめ曲: ビル・エヴァンス・トリオ - サンデー・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード (1961)

リード

ジャズのリード楽器は通常、主旋律を奏で、繰り返しソロを持つ楽器である。これらの楽器はアンサンブルに特徴的な声を与え、曲の本質を表現するための主な道具となる。木管楽器と金管楽器はジャズにおけるリード楽器の典型ですが、それだけではありません。

ギター

ロックやブルースとは異なり、ジャズにおけるギターは、ピアノによるリズムの土台に似た、よりニュアンスのある役割を担っている。場合によっては、ギタリストは単音のメロディーを弾き、リード楽器の役割を果たすが、単純にコンピング・コードでホーンの伴奏をすることもある。

何十年もの間、数え切れないほどのギタリストが、アコースティック・ギターやエレクトリック・ギター、あるいはジャンルの融合や超越によって、ジャズという万能楽器の可能性を追求してきた。ジャズ・ギタリストはしばしばクリーン・トーンを使用し、楽器本来の温かみを輝かせます。

ベストプレーヤー: ウェス・モンゴメリー、パット・メセニー

推薦盤: ウェス・モンゴメリー - ウェス・モンゴメリーの信じられないジャズ・ギター (1960)

サックス

サクソフォンは、ジャズの誕生と発展に深く関わっている。何十年もの間、この万能な管楽器は、このジャンルの様々なスタイルに適応し、ステージ上で常に存在し続けている。

ジャズでよく使われるサックスには、主に4つのタイプがある：

アルト・サックス: 明るい音色を持つアルト・サックスは、通常リード・ボイスとして使われる。音域が広く、表現力に優れているため、活気のあるソロによく使われる。

テナー・サックス: アルトよりも深みのあるテナー・サックスは、力強さと温かみのバランスが取れており、ソロとコンピングを行き来するプレイヤーに最適。

ソプラノ・サックス: ソプラノ・サックスはアルト・サックスよりもピッチが高く、突き抜けるようなサウンドが特徴。ジャズ・バンドに幽玄さを加え、シンガーらしいダイナミズムを持つ。

バリトン・サックス: バリトンのサウンド・シグネチャーはサックス・ファミリーの中で最も深い。リード楽器としてはそれほど一般的ではないが、特にビッグバンドでは、他のホルンと組み合わせることで響きと深みを加えることができる。

ベストプレーヤー: ジョン・コルトレーン(テナー、ソプラノ)、チャーリー・パーカー(アルト)

おすすめ曲: ジョン・コルトレーン - 至上の愛 (1965)

トランペット

サックスと同様、トランペットもジャズの創成期から使われてきた。その人気の理由は、明るいサウンド、持ち運びやすさ、多用途性、そしてスタッカートからレガートまで幅広いサウンド・パレットを生み出す能力だ。

ジャズで使われるトランペットの種類を紹介しよう：

Bbトランペット：最も汎用性が高いため、ジャズではスタンダードなトランペットだ。パワフルな高音も、包み込むような低音も出せる。何度も目にしたことがあるだろう。

フリューゲルホルン（Flugelhorn）：ベル幅が広い以外はトランペットとほぼ同じで、よりソフトでメロウな音色を持つ。

コルネット：コルネットはトランペットに似ているが、より暖かく静かな音色が特徴。古いスタイルのジャズバンドを除いては、トランペットにほとんど取って代わられた。

ベストプレーヤー: マイルス・デイヴィス、ディジー・ガレスピー、チェット・ベイカー

おすすめ曲: マイルス・デイヴィス - カインド・オブ・ブルー (1959)

トロンボーン

イタリア語で "大きなトランペット "を意味するトロンボーンも、ジャズを演奏する上で重要な金管楽器だ。その特徴的な音色は豊かで力強く、スライド機構によって音と音の間を滑るように移動できるため、非常に汎用性の高い楽器となっている。

ジャズで使われるトロンボーンにはいくつかの種類がある：

テナー・トロンボーン: ジャズで最も一般的なトロンボーンです。テナー・トロンボーンは中音域を持ち、メロディックなラインもリズム・ハーモニーもこなせる万能性を持っている。一般的にはバリトン・ボイスと同じ音域を演奏する。

バス・トロンボーン: テナー・トロンボーンに比べ、バス・トロンボーンはより深くふくよかな響きを持つため、通常ジャズ・アンサンブルの低音域を強化するために使用される。

バルブ・トロンボーン: スライドで音程を変える上記のトロンボーンとは異なり、バルブ・トロンボーンはトランペットのようなバルブを使用します。このため、速いパッセージを演奏しやすくなりますが、スライドトロンボーンの人気の秘密である滑らかで滑るようなサウンドは犠牲になります。

ベストプレーヤー：J.J.ジョンソン、カーティス・フラー

推薦図書: J.J.ジョンソン - 著名なジェイ・ジェイ・ジョンソン 第1巻 (1953)

型破り

以下に紹介する楽器は、他のジャズ楽器ほど一般的ではないかもしれないが、ジャズバンドにユニークなサウンドとテクスチャーをもたらし、長年にわたって多くの象徴的なプレイヤーによって使用されてきた。

ヴィブラフォン

ヴィブラフォンはモダンジャズでよく使われ、リズム楽器としてもリード楽器としても活躍する。金属棒と共鳴管を持ち、独特でパワフルな音を出す楽器だ。ジャズ界では賛否両論で、好きな人もいれば、場違いだと思う人もいる。

ベストプレーヤー: ライオネル・ハンプトン、ミルト・ジャクソン

おすすめ曲: ミルト・ジャクソン - バッグス・グルーヴ (1957)

アコーディオン

ジャズ・ミュージシャン、リチャード・ガリアーノの素晴らしい作品のおかげで、アコーディオンはジプシー・ジャズやタンゴ・ジャズなど、ヨーロッパの民族音楽に影響を受けたジャズ・スタイルでニッチを切り開いてきた。メロディーとハーモニーを同時に奏でることができるこの楽器は、あらゆる規模のアンサンブルにとって興味深い存在であり、マスターするのが最も難しい楽器だろう！

ベストプレーヤー：リシャール・ガリアーノ、アート・ヴァン・ダム

お薦め曲：リチャード・ガリアーノ - フレンチ・タッチ (1998)

ヴァイオリン

ヴァイオリンとジャズ？もちろんだ！うまく使えば、クラシック音楽でよく使われるこの楽器は、ジャズ・アンサンブルを不自然にすることなく、音のパレットを大きく広げることができる。他の楽器のようにスウィングする特性はないかもしれないが、ヴァイオリンは曲の切なさを拡大し、次のレベルに引き上げることができる。

ベストプレーヤー: ステファン・グラッペリ、ジャン＝リュック・ポンティ、マーク・フェルドマン

おすすめ曲: Stéphane Grappelli - Django Reinhardt & Stéphane Grappelli：フランス・ホット・クラブ五重奏団 (1934-1948)

Bbクラリネット

ディキシーランドやスウィングの黎明期に比べると、現在ではあまり見かけなくなったが、クラリネットのウッディな音色と広い音域は、ノスタルジックな雰囲気のジャズにぴったりのソロ楽器だ。

ベストプレーヤー: ベニー・グッドマン、アーティ・ショウ、エリック・ドルフィー（バスクラリネット）

おすすめ曲: ベニー・グッドマン - 有名な1938年カーネギー・ホール・ジャズ・コンサート (1938)

フルート

フルートの機敏な動きは、速くて複雑なジャズ・パートや即興ソロに最適です。フルートの軽やかな音色は、伝統的な金管楽器や木管楽器とは対照的で興味深い。

ベストプレーヤー: ハービー・マン、ユベール・ロウズ

おすすめ曲: ハービー・マン - ヴィレッジ・ゲートにて (1961)

マリンバ

基本的にはヴィブラフォンだが、木製のバーを持つマリンバは、より暖かく土臭いサウンドを提供する。ジャズではそれほど一般的ではないが、革新的なミュージシャンたちは、この楽器がジャズ・オーケストラでいかに表現力豊かで没入感のある演奏ができるかを証明してきた。

ベストプレーヤー: ボビー・ハッチャーソン、デイブ・サミュエルズ

おすすめ曲: ボビー・ハッチャーソン - コンポーネント (1966)

ハモンドオルガン

ハモンド・オルガンはゴスペルやソウルに由来し、しばしばジャズと絡み合うジャンルだ。サステインコードとベースラインを同時に出すことができ、歪ませることも、リバーブやディレイで和らげることもできる。

最後に、独特の音色と、パワフルなサウンドで部屋を満たす能力がある。このエレクトリック・オルガンを愛さない手はないだろう。

ベストプレーヤー: ジミー・スミス, ラリー・ヤング

おすすめ曲: ジミー・スミス - バック・アット・ザ・チキン・シャック (1963)

ジャズの楽器について私が知っていることはそれだけだ！冒頭で述べたように、ジャズの素晴らしさはその予測不可能性と表現の自由さにあります。上に挙げたものは最も一般的な楽器ですが、他のジャンルから借りてきたり、大きなアンサンブルで使ったりすることで、ジャズの曲をユニークなものにできる楽器は他にもたくさんあります。

もしあなたがこの不朽のジャンルを探求し始めたばかりなら、私が最後にお勧めするのは、オープンマインドでそうすることだ。先人たちから学びつつ、自由に使える楽器が提供する無限の選択肢を考慮すること。木管楽器や金管楽器にはそれぞれ、既存のアンサンブルとうまく調和するような音の特徴があります。楽しんでください！