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日本の行政機関のひとつ ウィキペディアから
環境省(かんきょうしょう、英: Ministry of the Environment、略称: MOE)は、日本の行政機関のひとつ[4]。環境の保全・整備、公害の防止、原子力安全政策を所管する[注釈 1]。
環境省 かんきょうしょう Ministry of the Environment | |
---|---|
環境省が設置される中央合同庁舎第5号館 | |
役職 | |
大臣 | 浅尾慶一郎 |
副大臣 |
小林史明 中田宏 |
大臣政務官 |
五十嵐清 勝目康 |
事務次官 | 鑓水洋 |
組織 | |
上部組織 | 内閣[1] |
内部部局 |
大臣官房 総合環境政策統括官 地球環境局 水・大気環境局 自然環境局 環境再生・資源循環局 |
審議会等 |
中央環境審議会 公害健康被害補償不服審査会 有明海・八代海総合調査評価委員会 国立研究開発法人審議会 |
施設等機関 | 環境調査研修所 |
特別の機関 | 公害対策会議 |
地方支分部局 | 地方環境事務所 |
外局 | 原子力規制委員会 |
概要 | |
法人番号 | 1000012110001 |
所在地 |
〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 北緯35.673386度 東経139.753148度 |
定員 | 3,385人[2] |
年間予算 | 3207億1241万9千円[3](2024年度) |
設置 | 2001年(平成13年)1月6日 |
前身 | 総理府環境庁 |
ウェブサイト | |
www |
環境省設置法に定められた上記の任務を達成するため、同法第4条は環境省がつかさどる事務を計26号[注釈 2]にわたって規定している。具体的には以下の事項に関する事務がある。
環境省の内部組織は一般的に、法律の環境省設置法、政令の環境省組織令及び省令の環境省組織規則が階層的に規定している。 本省内部部局は、中央合同庁舎第5号館3階及び22階から26階に所在している。
地方支分部局として地方環境事務所をおく(法律第12条)。
環境省が主管する独立行政法人は2024年4月1日現在、国立環境研究所、環境再生保全機構の2法人である[8]。
環境省が主管する特殊法人は2024年4月1日現在、中間貯蔵・環境安全事業株式会社のみである[9]。これは、株式会社の形態で設立された特殊会社である。
環境省が主管する特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)、認可法人、地方共同法人及び特別の法律により設立される法人は存在しない。
2023年度(令和5年度)一般会計当初予算における環境省所管の歳出予算は3207億1241万9千円である[3]。組織別の内訳は本省が2669億8372万8千円、地方環境事務所が77億5589万1千円、原子力規制委員会が459億7280万円となっている。共通費を除く主な科目は「石油石炭税財源エネルギー需給構造高度化対策費エネルギー対策特別会計へ繰入」(本省)が1267億8700万円、「廃棄物処理施設整備費」(本省)が376億0437万5千円、「電源開発促進税財源原子力安全規制対策費エネルギー対策特別会計へ繰入」(原子力規制委員会)が336億1800万円などとなっている。
歳入予算は138億1366万9千円で、全額が雑収入である。
環境省は、内閣府、文部科学省及び経済産業省とエネルギー対策特別会計を共管している。また、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省所管[注釈 5]の東日本大震災復興特別会計を共管する。
一般職の在職者数は2023年7月1日現在、環境省全体で2,994人(男性2,343人、女性651人)である[10]。うち、本省(地方環境事務所を含む)が2,023人(男性1,536人、女性487人)、原子力規制委員会(原子力規制庁及び施設等機関を含む。)が971人(男性807人、女性164人)となっている。
行政機関職員定員令に定められた環境省の定員は特別職1人を含めて3,385人である[2]。本省および各外局別の定員は省令の環境省定員規則が、本省2,252人、原子力規制委員会(事務局(原子力規制庁)及び施設等機関の職員の定員)1,133人、合計3,385人と規定する[11]。
2024年度一般会計予算における予算定員は特別職17人、一般職2,119人の計2,136人である[3]。一般会計の予算定員の機関別内訳は環境省本省が1,107人、地方環境事務所635人 原子力規制委員会(原子力規制庁及び施設等機関を含む)394人である。特別会計の予算定員は、エネルギー対策特別会計(環境省所管分)が7521531人(すべて地方環境事務所)[12]である。
環境省職員は一般職の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は保障されており、職員は労働組合として国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。
2022年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数は単一体1となっている[13]。組合員数は8人、組織率は0.3%となっている。組織率は13府省2院の平均である38.3%を38ポイント下回っている。2000年代は2009年度末まで職員団体の組織率が2割程度で推移していたが、2010年度、一挙に0%になっている[14]。過去にあった労組は全環境省労働組合(略称:全環境)で、連合・全労連いずれにも属さない中立系組合であった。その後再度組織されたが極めて弱小である。
環境省の編集する白書には「環境白書」、「循環型社会白書」、「生物多様性白書」の3つがあり、それぞれ、環境基本法、循環型社会形成推進基本法および生物多様性基本法の規定により、毎年、政府が国会に提出することが定められた報告書と今後の施策文書を収録している。その内「環境白書」には環境基本法第12条に定められた「環境の状況及び政府が環境の保全に関して講じた施策に関する報告」と「環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書」が収録される。循環型社会白書と生物多様性白書も同様の形式である。以前はそれぞれ市販本が発行されていたが、2009年(平成21年)版から3白書の市販版は合冊となっている。
ウェブサイトのURLのドメイン名は「www.env.go.jp
」である。定期刊行の広報誌としては、隔月刊の「エコジン」がある。2007年6月以前はぎょうせい発行の『かんきょう』が刊行されていたが、2007年7月から社団法人時事画報社[注釈 6]発行で、隔月刊の「エコジン」に更新され、現在は環境省が発行し、株式会社文化工房が編集となっている。
氏名 | 前職 | 在任期間 | 退任後の役職 |
---|---|---|---|
環境事務次官(環境庁) | |||
梅本純正 | 厚生事務次官 | 1971年(昭和46年)7月1日 -1973年(昭和48年)7月27日 |
内閣官房副長官、武田薬品工業社長 |
船後正道 | 企画調整局長 | 1973年(昭和48年)7月27日 - 1975年(昭和50年)7月8日 |
中小企業金融公庫総裁 |
城戸謙次 | 企画調整局長 | 1975年(昭和50年)7月8日 -1978年(昭和53年)6月23日 |
公害防止事業団理事長 |
信澤清 | 企画調整局長 | 1978年(昭和53年)6月23日 - 1979年(昭和54年)7月6日 |
公害防止事業団理事長 |
上村一 | 企画調整局長 | 1979年(昭和54年)7月6日 -1980年(昭和55年)6月17日 |
社会福祉・医療事業団理事長、 医薬品副作用被害救済・研究振興基金理事長 |
金子太郎 | 企画調整局長 | 1980年(昭和55年)6月17日 - 1981年(昭和56年)7月10日 |
丸三証券会長 |
藤森昭一 | 企画調整局長 | 1981年(昭和56年)7月10日 - 1982年(昭和57年)11月27日 |
内閣官房副長官、宮内庁長官、 日本赤十字社社長 |
(清水汪) | 1982年(昭和57年)11月27日 - 1982年(昭和57年)11月30日 企画調整局長による事務代理 |
||
清水汪 | 企画調整局長 | 1982年(昭和57年)11月30日 -1984年(昭和59年)9月4日 |
農林中金総合研究所理事長 (財)地球・人間環境フォーラム理事長 |
正田泰央 | 企画調整局長 | 1984年(昭和59年)9月4日 -1985年(昭和60年)9月3日 |
環境事業団理事長 |
山崎圭 | 企画調整局長 | 1985年(昭和60年)9月3日 -1986年(昭和61年)9月5日 |
バイエル薬品会長 |
岡崎洋 | 企画調整局長 | 1986年(昭和61年)9月5日 - 1987年(昭和62年)10月9日 |
神奈川県知事 |
加藤陸美 | 企画調整局長 | 1987年(昭和62年)10月9日 - 1988年(昭和63年)7月15日 |
社会福祉・医療事業団理事長 |
森幸男 | 企画調整局長 | 1988年(昭和63年)7月15日 - 1990年(平成2年)7月10日 |
東宮大夫、宮内庁次長 |
安原正 | 企画調整局長 | 1990年(平成2年)7月10日 -1991年(平成3年)7月9日 |
農林漁業金融公庫副総裁、山種証券会長 |
渡辺修 | 企画調整局長 | 1991年(平成3年)7月9日 - 1993年(平成5年)6月29日 |
環境事業団理事長 |
八木橋惇夫 | 企画調整局長 | 1993年(平成5年)6月29日 - 1994年(平成6年)7月15日 |
商工組合中央金庫副理事長、日本酒類販売副社長、 沖縄振興開発金融公庫理事長 |
森仁美 | 企画調整局長 | 1994年(平成6年)7月15日 - 1995年(平成7年)7月4日 |
年金福祉事業団理事長、年金資金運用基金理事長 |
石坂匡身 | 企画調整局長 | 1995年(平成7年)7月4日 - 1996年(平成8年)7月5日 |
自動車保険料率算定会副理事長、石油公団副総裁、 (社)日本損害保険協会副会長、(財)大蔵財務協会理事長 |
大西孝夫 | 企画調整局長 | 1996年(平成8年)7月5日 -1998年(平成10年)1月9日 |
(財)休暇村協会理事長 |
田中健次 | 企画調整局長 | 1998年(平成10年)1月9日 -1999年(平成11年)7月27日 |
環境再生保全機構理事長 |
岡田康彦 | 企画調整局長 | 1999年(平成11年)7月27日 - 2001年(平成13年)1月5日 |
住宅金融公庫副総裁、(社)全国労働金庫協会理事長 |
環境事務次官(環境省) | |||
太田義武 | 企画調整局長 | 2001年(平成13年)1月6日 -2002年(平成14年)1月8日 |
みずほコーポレート銀行顧問 |
中川雅治 | 総合環境政策局長 | 2002年(平成14年)1月8日 - 2003年(平成15年)7月1日 |
参議院議員、環境大臣兼内閣府特命担当大臣(原子力防災担当) |
炭谷茂 | 総合環境政策局長 | 2003年(平成15年)7月1日 -2006年(平成18年)9月5日 |
(財)休暇村協会理事長、社会福祉法人恩賜財団済生会理事長 |
田村義雄 | 総合環境政策局長 | 2006年(平成18年)9月5日 -2008年(平成20年)7月22日 |
在クロアチア特命全権大使 |
西尾哲茂 | 総合環境政策局長 | 2008年(平成20年)7月22日 - 2009年(平成21年)7月14日 |
明治大学教授 |
小林光 | 総合環境政策局長 | 2009年(平成21年)7月14日 - 2011年(平成23年)1月7日 |
慶應義塾大学教授 |
南川秀樹 | 地球環境審議官 | 2011年(平成23年)1月7日 -2013年(平成25年)7月2日 |
福島中間貯蔵等連絡調整推進本部本部長 一般財団法人日本環境衛生センター理事長 |
谷津龍太郎 | 地球環境審議官 | 2013年(平成25年)7月2日 -2014年(平成26年)7月8日 |
中間貯蔵・環境安全事業株式会社代表取締役社長 |
鈴木正規 | 官房長 | 2014年(平成26年)7月8日 -2015年(平成27年)7月31日 |
イオン株式会社執行役総合金融事業担当、イオン銀行代表取締役会長、イオンフィナンシャルサービス代表取締役会長、イオンクレジットサービス取締役、AFSコーポレーション代表取締役会長[15] |
関荘一郎 | 地球環境審議官 | 2015年(平成27年)7月31日 - 2016年(平成28年)6月17日 |
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター理事長 東京大学国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構特任研究員 中央大学研究開発機構客員教授 |
小林正明 | 地球環境審議官 | 2016年(平成28年)6月17日 - 2017年(平成29年)7月14日 |
中間貯蔵・環境安全事業社長[16] |
森本英香 | 官房長 | 2017年(平成29年)7月14日 - 2019年(令和元年)7月9日 |
早稲田大学法学部教授 一般財団法人持続性推進機構理事長 |
鎌形浩史 | 官房長 | 2019年(令和元年)7月9日 - 2020年(令和2年)7月21日 |
中間貯蔵・環境安全事業代表取締役社長 |
中井徳太郎 | 総合環境政策統括官 | 2020年(令和2年)7月21日 - 2022年(令和4年)7月1日 |
日本製鉄顧問 |
和田篤也 | 総合環境政策統括官 | 2022年(令和4年)7月1日 -2024年(令和6年)7月1日 |
|
鑓水洋 | 総合環境政策統括官 | 2024年(令和6年)7月1日 - |
一般職の幹部は以下のとおりである。
2017年3月2日、福島第一原子力発電所事故を巡る除染事業に参入させる見返りに業者から飲食接待を受けたとして、福島環境再生事務所の除染推進市街地担当専門官が収賄容疑で逮捕された[17]。
2018年8月28日、菅義偉内閣官房長官は、中央省庁の障害者雇用の水増し数を発表、全省庁水増し3,460人中、環境省は48人不足していた。
2022年4月5日、当省は「リバウンド警戒期間中」だった3月28日に環境経済課の職員12人が東京都内の飲食店で開催した懇親会で、うち20~30代の9人が新型コロナウイルス感染症に感染し、クラスターが発生したと発表した[18][19]。
2024年5月1日に熊本県水俣市で開催された水俣病犠牲者追悼慰霊式後の伊藤信太郎大臣と患者団体との懇談の席で、2団体の会員それぞれの発言の途中に、司会を担当した本省の特殊疾病対策室・木内哲平室長が大臣の帰りの新幹線に間に合わせるためを名目として、3分間の時間制限を超えたことを理由に、マイクの音を一方的に打ち切り、大臣一行が退席した事案が発生。団体からの猛烈な抗議や世論を受けた岸田政権は「不適切な対応だった 政府としておわび」(林官房長官)としてこれを謝罪したとしている[20][21]。しかし、地元には現在もなお根強い不信感が続いている[22]。さらに、伊藤信太郎大臣はこのマイク打ち切りがあった後も、6日後にあたる2024年5月7日までマイクを切ったことを知らなかったとしていた[23]。
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