コース: 障害のある従業員をサポートする

普通とは何か

障害に伴う困難の多くは、誤った考え、 誤った意思表示、誤解に原因を 求めることができます。 ここでは、普通という概念について 説明します。 普通とはどういう意味で、 人が普通と言うときはどういう意味で 言っているのでしょうか。 世間で普通という言葉を使うのは、 一般的なものや標準的なもの、 多数派に当てはまるものを表すときです。 よくあるものや通常の状態を表すために、 普通という言葉は使われます。 「普通というものは存在しない」と 言われるのは、現実として人によって 「普通」の状態は異なるからです。 普通という語を文章の中に入れてみると、 そうした状況が見えてきます。 たとえば、私は普通、車で職場に行きます。 私はいつも車で通勤するため、 それが普通です。 しかし、ロンドンやニューヨークなどの 大都市では、公共交通機関を使ったり、 中心部に住んで徒歩や自転車で 通勤したりする人が多くいます。 この場合、 「車で通勤するのは普通ではない」 という文章は、「通常、多くの人は 車で通勤しない」と 言い換えることができます。 何が普通かは一人ひとり違います。 何かを「普通」と言うときは、 どういう意味か十分に認識する 必要があります。 他者と交流するとき、 方針や手順を確認するとき、 採用候補者を見極めるとき、 イベントや活動を計画しているときなど、 日々のあらゆる場面で このことを意識すべきです。 自分が考える普通に意味があるのかを 判断するには、次に紹介する方法を 使うとよいでしょう。 普通、私たちは誰でも誕生日があります。 しかし、全員が同じ月に 生まれることは通常はありません。 1月から 12 月まで、 12 の可能性があることを 誰でも知っています。 特殊な状況で一定の年齢制限がある場合、 たとえば学校への入学年度が 生まれ月に基づく場合などを除き、 生まれた月と、その人の力量や適性には まったく関係はありません。 生まれた月は変えられず、 それだけを基準に何かを評価すべきでは ありません。 同僚や友人、家族と生まれた月が違うのは、 極めて普通のことです。 同じように、普通や一般的という基準で 何かができない、 あるいはとても難しいという 結論に飛びついていないか、 自分自身で確認する必要があります。 男性中心の仕事に人を 採用する場合を例にします。 男性がその仕事をするのを見慣れていると、 女性がその仕事に応募しても、 自分が考える「普通」の基準で、 その女性を断る可能性が高くなります。 ここで、自分自身で確認します。 その人が6月ではなく5月に生まれていたら マイナスの影響があるでしょうか。 答えが「ノー」なら、 自分が考える「普通」、 この例だと男性のほうが その仕事にふさわしいという思い込みが、 決定や行動に影響を与えていると 見なすことができます。 このような質問で常に確認します。 必ず、「普通だと思われること」ではなく、 本当のニーズや資質が何かを 考えるようにしましょう。

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